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感想書く日記的なブログのつもりです

GレコV感想〜もしかして…〜

Gレコ五部作目見てきました。これにて完結。感慨深い。がしかし、なんか5部作目テレビの時とあんまり感想が変わらない。逆になんで不完全燃焼なのかはわかった気がするのでそこを書いておこうと思います。

 

 

 

 

Gレコは富野作品の中でも異色だなぁと思ってたんですけど、その主な理由として、主人公達が闇落ちしないように周りの大人や先輩が支えるんですよね。多分これほぼ初めてだと思うんですよ。しかも全部周りの支えが成功するんですよね。

ランバラルやマチルダさんを目の前で亡くしたアムロやフォウを亡くしたカミーユのように、支えになりそうな人は死んでいって、それを糧に良くも悪くも主人公が成長する事で話が進んでいく気がしてます。ただGレコって人を殺したり、肉親が死んだ事を悲しんでも周りで支えてくれる人が沢山いて、その人達は死なないんですよ。それが悪いんじゃなくて、そのシチュエーションを使い切って無いというか。今までの富野作品の活劇の中でそんな演出や展開がほとんどないんです。でもGレコは往年の富野演出なので、人の死とキャラの感情の変遷、成長と視聴者の感情が噛み合うことがほぼないんですよね。ベルリが闇落ちしない理由はいいんですけど、そのせいで名前ありの敵キャラを殺した際の視聴者のモヤモヤがそのまま残るんですよね。死んだ、で終わっちゃう気がします。ベルリは周りの支えで少し乗り越えてるみたいなんでその後あんまり表に出さない。タチが悪いのは完全に立ち直らないんです。Zガンダムの劇場版みたいに、明らかにカミーユにストレスは溜まるんですけど、ファとか周りの支えで最後闇落ちしないで済むのと似てるんです。似てるんですけど、カミーユは常にイライラしてて、危ういんです。でもベルリは周りのサポートも手厚いしどうも賢そうなキャラなんで、親に心配かけたくない子供のように上手にストレスを隠してるんです。それを献身的に支える人が多くて、視聴者からみると、「あれベルリ君大丈夫そうね」と思える。なのに突然戦場でトラウマが出る。それを4、5人でメンタルケアするんです。書いてる事は真っ当に見えるんですけど、見てるこっちは乗り切れないんです。だって人殺しをやってるんですから。

キングゲイナーみたいにみんながみんな戦争とか人殺しと言わずに任務を真っ当してくれてるといいんですけど、今回マスク大尉がしつこく戦争である事、人殺しである事をベルリと視聴者に思い出させてくれるんですよね。その度にメンタルケアが(以下略

なんでわざわざ書いてるかというと、これが今作のテーマじゃなさそうな事です。Gレコのテーマは富野さんのインタビューを信じれば行きすぎたテクノロジー、科学信仰への批判であり、ロマンだけの宇宙開発の否定です。地球を大事にです。そしてガンダムから続く反戦の意思は残ってると思います。それでも戦争をする愚かな人間、ってのは変わってないと思います。だからこそ、今回のメンタルケアの手厚さは視聴者に戦争で散っていく命の尊さ、命を簡単に奪う戦争の残酷さを和らげてしまっているんですよね。

メンタルケアといえば、シンエヴァでシンジくんのメンタルケアをしていましたが、農村パートにどれだけ尺を使っていた事か。今回のGレコはこの農村パートに15分おきくらいに戦闘シーンを挟んでいたようなものだと思います。そんな構成のシンエヴァだったら、シンジくんが絶望から立ち直れなかったはずです。

でも富野さんだってキングゲイナーで、最後闇落ち主人公をラスボスにすることで、このメンタルケアを使って成功しています。

これを考えると、今回のGレコは戦争をやるにしては作り手が優しすぎたと思います。富野ガンダムイデオンなどはその語種な残虐さこそが売りであり、富野さんの作家性が出た部分だったと思います。

Gレコはテーマは戦争では無いです。エネルギーや技術発展というテーマに付随して戦争してましたが、戦闘描写の持っていたテーマ性はガンダムよりキングゲイナーザブングルに近いと思います。ただGレコはガンダムでした。戦争しないといけなかったんじゃないかと邪推します。シナリオや設定のテーマとガンダムという作品自体が持ってしまったテーマが相反していたように思います。

だから恐れずもう一度書いておきたいと思います。Gセルフガンダムフェイスじゃなくても良い作品だったらどれだけ良かったかと。もっと面白くなったと思いました。

 

最後にさらに誤解を恐れずに言うとすると、安彦さんがインタビューで、ロボット物やガンダムの縛りのない富野さんの長編を見たいとおっしゃっていましたが(CONTINUEのGレコスペシャルのインタビュー参照)、戦争とか争いは無くせないんじゃ無いかと。戦わない人間同士の交流は富野さん苦手なんじゃ無いかと思ってしまったんですよね。少なくともGレコは技術が人に与える影響は類を見ないほどに提示できてたと思うし、色々考えてて面白い世界観を見せてくれたと思っています。だけど、アイーダとベルリが実は兄弟だったとか、マニィがルインを思い続けて行動してるところとか、人間関係の話がいまいち乗れなかったと言うのが正直なところです。これロボットとかSF要素を除いて流行りの異世界転生のゲーム的ファンタジー世界観でもアイーダとベルリの出会いや冒険、関係やオチを置き換えられると思うんですけど、多分圧倒的に面白く無いと思われます。ぶっちゃけアイーダさんの成長はムタチオン関連だし、ベルリは最後世界を見に旅しちゃうし。あの恋した相手が兄弟だった設定活かせてましたか?なんかSFテーマが投げかけてくる問題提起が大きすぎて、霞んでた気がするんですが。

 

ダメだ止まらないのでこの辺にしておきましょう。

願わくば自作も見れるなら凄く嬉しいです。少なくとも本人が嫌だって言うんだからガンダムじゃないといいです。ロボットアニメでいいからガンダムじゃない新作が見たい。